相続登記の進め方を司法書士が解説

「実家を売ろうとしたら、名義が父ではなく祖父のままだった」
「固定資産税は払っているけれど、登記名義を確認したことがない」
このようなご相談は、相続登記の義務化以降、特に増えています。
不動産の名義が祖父のままになっている場合、現在の相続人を確定し、順番に相続関係を整理する必要があります。
相続が何代にもわたって発生しているケースでは、相続人が多数になることもあり、手続きが複雑になることも少なくありません。
本記事では、名義が祖父のままの不動産について、確認すべきポイントや相続登記の流れを司法書士が解説します。
名義が祖父のままでも固定資産税を払っているケースは多い
「固定資産税を長年払っているので、自分名義になっていると思っていました」
このようなお話は、相続のご相談の中でも少なくありません。
実際には、固定資産税を支払っていることと、不動産の登記名義人であることは別の問題です。
たとえば、祖父が所有していた不動産について、祖父が亡くなった後も、同居していた父や子が固定資産税を支払い続けているケースがあります。
しかし、相続登記をしていなければ、不動産の名義は祖父のままになっています。
特に、以下のようなケースでは注意が必要です。
- 実家にそのまま住み続けている
- 固定資産税の納付書が毎年来ている
- 相続時に特に手続きをしていない
- 売却や名義確認をしたことがない
- 権利証を確認したことがない
固定資産税の納税通知書には、現在の「納税義務者」の名前が記載されていることがありますが、これは必ずしも登記名義人を意味するものではありません。
そのため、
❌「税金を払っている=自分の不動産」
とは限らない点に注意が必要です。
⚠️ よくある誤解
❌ 固定資産税を払っている= 自分名義になっている
特に、不動産を売却しようとした際や、相続登記を進めようとした際に、初めて「祖父名義のままだった」と気づくケースも多く見られます。

※しかし登記名義は祖父のまま
まずは、法務局で登記事項証明書(登記簿)を取得し、現在の登記名義人を確認することが重要です。
名義が祖父のままだと問題になる場面
不動産の名義が祖父のままでも、普段生活しているだけでは大きな問題が生じないこともあります。
しかし、いざ不動産を動かそうとした場面で、相続登記が必要になるケースは少なくありません。
特に、次のような場面では注意が必要です。
不動産を売却したいとき
不動産を売却するためには、現在の所有者名義へ相続登記を行う必要があります。
たとえば、祖父名義のままになっている不動産を売却する場合、祖父から現在の相続人までの相続関係を整理し、名義変更を行わなければなりません。
相続が何代にもわたっているケースでは、相続人が多数になることもあり、手続きが複雑になる場合があります。
相続人が増えてしまうことがある
相続登記をしないまま時間が経つと、その間にさらに相続が発生し、関係者が増えていくことがあります。
例えば、祖父が亡くなったあとに父も亡くなり、さらに兄弟姉妹にも相続が発生すると、当初よりも相続人が大幅に増えてしまうケースがあります。
- 遺産分割協議がまとまりにくい
- 連絡が取れない相続人がいる
- 必要書類の収集が難しくなる
など、手続きの負担も大きくなります。
空き家問題につながることもある
相続登記がされないまま空き家になっている不動産は、管理が行き届かなくなることがあります。
- 建物の老朽化
- 草木の繁茂
- 近隣トラブル
などにつながるケースもあります。
相続した実家や古い住宅が空き家になっているご相談も少なくありません。
相続登記の義務化にも注意が必要
現在は、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を行うことが義務化されています。
そのため、
「昔の相続だからそのままで大丈夫」
とは言い切れない状況になっています。
過去に発生した相続についても、状況によっては早めの対応が必要になる場合があります。
まず確認するべきは「現在の登記名義」
名義が祖父のままかもしれないと思った場合、まず確認したいのは、不動産の現在の登記名義です。
固定資産税の納税通知書や権利証が手元にあっても、それだけで現在の登記名義を正確に確認できるとは限りません。
現在の登記名義は、法務局で取得できる登記事項証明書(登記簿)で確認します。
登記事項証明書で確認するポイント
- 所有者として誰の名前が記載されているか
- 住所や氏名が古いままになっていないか
- 土地と建物の両方が登記されているか
- 共有名義になっていないか
- 抵当権などの担保権が残っていないか
特に、土地は登記されていても、古い建物が未登記のままになっているケースもあります。
また、固定資産税の通知書に記載されている土地や建物と、登記簿上の不動産が完全に一致しているとは限りません。
地番や家屋番号、所在、面積などを確認しながら、どの不動産について手続きが必要なのかを整理することが大切です。
固定資産税の通知書だけでは不十分なこともあります
固定資産税の通知書は、不動産を調べる手がかりにはなります。
しかし、相続登記を進めるためには、登記簿に基づいて対象不動産を正確に特定する必要があります。
古い相続では、「自宅だけ」と思っていた不動産のほかに、私道持分や共有地、山林などが見つかるケースもあります。
「自宅だけだと思っていたら、私道持分や共有地があった」
「土地は祖父名義だが、建物は未登記だった」
このようなケースもあります。
そのため、名義が古いままの不動産では、最初に登記簿を確認し、手続きの対象となる不動産を正確に把握することが重要です。
相続が何代も発生している場合は注意が必要
名義が祖父のままになっている不動産では、相続が何代にもわたって発生しているケースも少なくありません。
例えば、祖父が亡くなったあとに相続登記を行わず、その後さらに父も亡くなっている場合、相続関係が複雑になることがあります。
このようなケースでは、祖父の相続人だけでなく、その後に亡くなった相続人についても、さらに相続関係を確認する必要が生じる場合があります。
相続人が増えることで手続きが難しくなることもあります
相続が繰り返されると、当初よりも相続人の人数が増えていくことがあります。
例えば、兄弟姉妹や甥・姪が相続人になるケースでは、関係者が多数になることもあります。
- 相続人同士が疎遠になっている
- 現在の住所が分からない
- 海外に住んでいる相続人がいる
- 認知症などで判断能力に不安がある
など、手続きがスムーズに進まないケースも少なくありません。
戸籍収集の範囲が広くなることもあります
相続登記では、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を収集し、相続人を確定する必要があります。
相続が何代にも及ぶ場合には、古い戸籍や除籍謄本の収集が必要になることもあり、本籍地が全国にまたがるケースもあります。
古い戸籍は手書きで読みにくいものも多く、相続関係の整理に時間がかかることもあります。
時間が経つほど整理が難しくなる傾向があります
名義が古いままの不動産は、放置期間が長くなるほど相続関係が複雑化しやすくなります。
そのため、売却予定がまだない場合でも、早めに登記名義や相続関係を確認しておくことが大切です。
名義変更(相続登記)の基本的な流れ
名義が祖父のままになっている不動産について相続登記を行う場合、まずは相続関係や対象不動産を整理する必要があります。
相続が何代にもわたっているケースでは、通常の相続登記よりも確認事項が多くなることがあります。
一般的には、次のような流れで手続きを進めます。

古い相続では事前確認が重要です
名義が祖父のままになっている不動産では、
- 未登記建物がある
- 共有持分が含まれている
- 相続人が多数いる
- 古い戸籍の収集が必要になる
など、個別の事情があるケースも少なくありません。
そのため、まずは現在の登記状況や相続関係を確認し、どのような手続きが必要になるのか整理することが大切です。
このような場合は早めの相談をおすすめします
名義が祖父のままになっている不動産では、相続関係や不動産の状況によって、手続きが複雑になるケースがあります。
特に、次のような場合には早めに状況を整理しておくことをおすすめします。
- 相続が何代にもわたって発生している
- 相続人の人数が多い
- 相続人同士が疎遠になっている
- 認知症などで判断能力に不安のある相続人がいる
- 空き家になっている不動産がある
- 不動産の売却を予定している
- 固定資産税は払っているが、登記名義を確認したことがない
- 権利証や登記関係書類が見当たらない
古い相続では、時間が経つほど相続人が増え、必要書類の収集や遺産分割協議が難しくなる傾向があります。
また、相続登記の義務化により、「昔の相続だからそのままでよい」とは言い切れない状況になっています。
M2K司法書士事務所では、登記簿の確認から相続人調査、相続登記まで一貫して対応しております。
「何から確認すればよいかわからない」という段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
いいえ、固定資産税を支払っていても、相続登記が完了しているとは限りません。
固定資産税の納税義務者と、登記簿上の所有者は異なる場合があります。
まずは登記事項証明書(登記簿)を確認し、現在の登記名義人を確認することが大切です。
実際には、そのまま居住されているケースも多くあります。
ただし、売却や建替え、担保設定などを行う際には、相続登記が必要になることがあります。
また、相続がさらに発生すると相続人が増え、手続きが複雑になる可能性もあります。
相続人が多い場合でも、相続登記を行うことは可能です。
ただし、遺産分割協議には原則として相続人全員の参加が必要になるため、人数が多い場合には調整や書類収集に時間がかかることがあります。
古い相続では、まず相続関係を整理することが重要です。
はい、ご相談可能です。
相続登記では、状況によっては権利証が手元になくても手続きを進められる場合があります。
まずは登記簿を確認し、必要書類を整理することが大切です。
名義が祖父のままになっている不動産は、時間が経つほど相続関係が複雑になる傾向があります。
特に、相続人が増えているケースや、空き家になっている不動産では、早めに状況を整理しておくことが重要です。
M2K司法書士事務所では、登記簿の確認から相続人調査、相続登記まで一貫して対応しております。
「何から確認すればよいかわからない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
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