※このページは現在作成中です。順次更新予定です。
🛡️ まず最初にお伝えしておきたいことがあります。
成年後見制度や民事信託は、ご本人の財産や権利を守るために設けられた制度です。
支援を担うご家族や関係者の善意はとても大切ですが、制度の目的は「ご本人を中心とした安心と尊厳の確保」にあります。
思いやりがあっても、「家族だから自由に管理してもいい」「子どもが代わりに動けば早い」といったお考えが、かえって制度の趣旨や法律にそぐわない対応になることもあります。
制度の仕組みを正しく知ることで、ご本人にもご家族にも納得できるサポート体制が築けます。
私たちは、そうした“誤解のない仕組みづくり”を一緒に考え、支援するためにここにいます。
🧭 成年後見制度と民事信託の大きな違い
成年後見制度と民事信託は、いずれもご本人の財産を守るための仕組みですが、管理方法や制度の考え方が根本的に異なります。
- 成年後見制度は、ご本人の判断能力が不十分な場合に、後見人が法的代理人として「全財産を包括的に管理」する制度です。
判断能力が失われた方を保護するために、家庭裁判所が関与しながら運用されます。 - 民事信託(家族信託)は、ご本人が元気なうちに、あらかじめ「特定の財産について契約で管理・処分を任せる」制度です。
契約に基づいて受託者が財産を管理し、本人の意思を尊重した柔軟な設計が可能です。
比較項目 | 成年後見制度 | 民事信託 |
---|---|---|
開始時期 | 判断能力が失われた後 | 判断能力があるうちに契約 |
管理対象 | 全財産を包括管理 | 契約で定めた特定財産のみ |
管理者 | 後見人(家庭裁判所が選任) | 受託者(契約で指定) |
法的性格 | 法的代理制度 | 信託契約に基づく財産管理制度 |
身上監護(医療・介護など) | 含まない | 含まない |
それぞれの制度には目的と特徴があり、ご本人やご家族の状況に応じた選択が大切です。
▶ 詳しく知りたい方へ:
成年後見制度の詳細はこちら
民事信託についての詳細はこちら
民事信託・成年後見に関するご相談を承っています。
- 高齢の親の財産管理が心配だが、どこまで子が関与してよいかわからない
- 認知症が進行する前に、信頼できる家族に財産管理を任せたい
- 将来に備えて、成年後見制度や民事信託について理解を深めたい
- 親族がすでに判断能力を失っており、法的な対応が必要
こうしたお悩みは、専門家に相談いただくことで、適切かつ安心できる仕組みづくりが可能です。
当事務所では、ご家族の状況やご希望に応じて、最適な制度選びと手続きのサポートを行っております。
民事信託
主な取扱業務の一覧です。
項目 | 内容 | 費用や時間がかかる手続き | 登録免許税・印紙税等 ※司法書士報酬は除く | 期間の目安 |
---|---|---|---|---|
信託契約書の作成 | 家族間での信託契約の設計・作成支援 | 公正証書の作成手続き、公証人との打ち合わせ | 公証人手数料などが発生 | 約1週間〜1か月 |
不動産の信託登記 | 受託者への所有権移転登記 | 登記申請、添付書類の整備 | 登録免許税(固定資産評価額の0.4%) | 約1週間〜3週間 |
信託口口座の開設 | 信託財産専用の口座開設支援 | 金融機関ごとの手続き | 金融機関により手数料が発生 | 金融機関により異なる |
🔍 補足事項
- 民事信託は、家族間での契約で柔軟な財産管理が可能になる制度です。
- ご本人が元気なうちに設計する必要があります(認知症発症後は利用不可)。
- 契約内容に応じて公証人の関与や登記が必要となる場合があります。
成年後見制度
主な取扱業務の一覧です。
項目 | 内容 | 費用や時間がかかる手続き | 登録免許税・印紙税等 ※司法書士報酬は除く | 期間の目安 |
---|---|---|---|---|
法定後見開始申立て | 家庭裁判所への申立書作成支援 | 医師の診断書取得、親族との調整、書類整備 | 収入印紙・郵券代等 約8,000円〜 | 約1〜3か月 |
任意後見契約 | 将来に備えた契約の作成支援 | 公正証書作成、公証人との打ち合わせ | 公証人手数料が発生 | 約1〜2週間 |
任意後見発効時の支援 | 本人の判断能力低下後、後見監督人の選任申立て | 家庭裁判所への手続き | 収入印紙等 | 約1〜2か月 |
📌 補足事項
- 法定後見は、本人の判断能力がすでに低下している場合に、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。
- 任意後見は、本人が元気なうちに、将来に備えて信頼できる人を「任意後見人」に指定する制度です。
- 任意後見契約には公正証書による作成が必要です。
📝 注意点
- 成年後見制度では、原則として家庭裁判所が関与し、定期的な報告義務や監督が求められます。
- 任意後見人が実際に権限を行使できるのは、家庭裁判所で「任意後見監督人」が選任された後になります。
- 成年後見制度を利用するか、民事信託を活用するかは、目的や財産内容、ご家族の事情に応じた検討が必要です。