NPO法人を設立・運営するためには、
法律で定められた「機関(組織のしくみ)」を整える必要があります。
特に、
- どのような機関を置く必要があるのか
- 誰が役員になれるのか
- 最低限必要な体制は何か
といった点は、設立時につまずきやすいポイントです。
このページでは、
NPO法人の機関の考え方から、
役員の欠格事由、必ず置かなければならない機関、
置いておくと運営がしやすくなる任意の機関まで、まとめてご説明します。

NPO法人の「機関」とは
NPO法人における「機関」とは、
法人の意思決定や業務を行うための組織や役職のことをいいます。
会社でいう
「株主総会」「取締役」「監査役」
に近い役割と考えると、イメージしやすいかもしれません。
NPO法人では、
・必ず置かなければならない機関(必置機関)
・任意で置くことができる機関(任意機関)
に分かれています。
株式会社との対比
| NPO法人 | 株式会社 |
| 社員 | 株主 |
| 社員総会 | 株主総会 |
| 理事 | 取締役 |
| 理事会 | 取締役会 |
| 監事 | 監査役 |
役員の欠格事由について
欠格事由とは
欠格事由とは、
一定の条件に該当する場合に、
理事や監事などの役員になることができないというルールです。
NPO法人は、公益性・透明性が求められる法人であるため、
役員についても厳格な基準が設けられています。
主な欠格事由の例
次のような場合には、役員になることができません。
・破産者
・一定の犯罪歴がある方
・暴力団員またはその関係者
・法律で定められた要件に該当する場合
・精神の機能の障害により、役員として必要な認知・判断・意思疎通が適切に行えない方
欠格事由で注意したいポイント
欠格事由に該当する方が役員に含まれている場合、
認証が下りない、または申請が差し戻される可能性があります。
また、設立後に役員を変更する場合には、
定款変更や追加手続きが必要となることもあり、
設立前の確認がとても重要です。
NPO法人の必置機関(必ず必要な機関)
NPO法人では、次の機関を必ず置く必要があります。
- 社員(構成員):10名以上
- 理事:3名以上
- 監事:1名以上
人数をそろえるだけでなく、
実際に機能する体制であることが求められます。

社員(構成員)
社員とは、NPO法人の最高意思決定機関である「社員総会」を構成するメンバーです。
単なる名義上の存在ではなく、
法人の重要事項について意思決定に関与できる体制が必要です。
理事
理事は、NPO法人の日常的な業務を執行する役員です。
理事会を設置しない場合でも、
理事それぞれが業務執行を担います。
監事
監事は、理事の業務や法人の会計を監査する役割を担います。
理事とは兼任できないため、
独立した立場の人を選任する必要があります。
機関の要件(社員・役員の条件)
社員
・制限なし(法人、団体、外国人も可)
・資格の得喪に関して条件をつけることは不可
役員(理事・監事)
1. 自然人に限る(法人、団体は不可)
2. 各役員について、配偶者または三親等以内の親族が2人以上含まれないこと
3. 役員本人+配偶者+三親等以内の親族が、役員総数の1/3を超えないこと
例:役員5名 → 親族は1名も不可
例:役員6名 → 親族1名のみ可
4. 報酬を受ける役員の数が、役員総数の1/3以下であること
5. 理事・監事は、それぞれ定数の2/3以上が在任していること
・設立時に定数を満たす必要あり
・途中で欠けた場合は追加選任が必要
各機関の仕事
社員総会
・定款の変更
・役員(理事・監事)の選任・解任
・予算や決算の承認
・法人運営に関わる重要事項の決定
理事(会)
・社員総会で決議された内容の実施
・活動計画の策定
・予算や決算の承認
・新規事業の立案・実施
・外部機関との交渉や契約締結
監事
・理事の業務執行の監査
・会計状況の監査
・不正行為等の発見時の社員総会への報告
・必要に応じた是正措置の提言
置くと便利な機関(任意機関)
任意機関は必須ではありませんが、
組織の規模や運営状況に応じて設置するとスムーズに運営できます。
代表理事
代表理事が団体を代表します。
代表理事を置かない場合、
理事全員が団体を代表します。
理事会
理事3名以上で構成される意思決定機関です。
設置することで、
- 意思決定がスムーズになる
- 責任の所在が明確になる
といったメリットがあります。
規模が大きくなるNPO法人では、設置されることが多いです。
事務局
実務を担う「事務局」を置くことで、日常の運営が安定しやすくなります。
特に、
- 書類管理
- 行政対応
- 会計処理
などがある場合には、事務局の設置が有効です。
機関設計でよくある注意点
定足数と決議要件
定足数:会議が成立するために必要な出席人数
決議要件:議案を可決するために必要な賛成数
社員総会
・ 年1回の開催が必要
・決議要件:
出席者が2分の1以上
その過半数の賛成(定款による)
・議事録署名者:
議長
選任された2名
※署名なら押印不要、印字の場合は実印+印鑑証明書が必要
理事会
・決議要件:
過半数の出席
出席者の過半数の賛成で決議
任期と登記申請
NPO法人の役員(理事、監事)の任期は最長2年です。
任期満了後に再任(重任)した場合でも、
登記申請が必要です。

代表理事も、理事の任期満了時に一度退任となるため、
再度選定が必要です。
定款で「理事の中から互選」と定めている場合は、
理事の過半数の賛成で選定します。
兼任禁止
監事は、取締役を監視する立場であるため、理事や職員と兼任ができません。
社員との兼任は禁止されていませんが、中立性から外部の方を選任された方が信頼性が高くなります。
よくあるご質問
社員は、NPO法人の最高意思決定機関である「社員総会」を構成する立場にあります。
そのため、単なる名義上の存在ではなく、法人の重要な事項について 意思決定に関与できる体制であることが求められます。
必ずしも日常業務に参加する必要はありませんが、 法人運営に関心を持ち、意思表示ができる関係性は必要です。
いいえ、まったく異なります。
社員は「社員総会で意思決定を行うメンバー」であり、 法人の根幹を担う立場です。
ボランティアスタッフや利用者は、 活動に協力する立場であり、意思決定権はありません。
はい、兼ねることは可能です。
実務上も、社員と理事を兼ねているケースは少なくありません。
ただし、社員10名以上、理事3名以上といった人数要件を満たしているか、 また意思決定が適切に行える体制になっているかには注意が必要です。
監事は、理事の業務執行や法人の会計を監査する役割を担います。
理事と兼任することはできないため、 理事から独立した立場でチェックできる人を選ぶ必要があります。
必ずしも専門家である必要はありませんが、 法人の活動やお金の流れを客観的に確認できる方が望ましいです。
欠格事由については、役員予定者ご本人からの申告をもとに 確認するのが一般的です。
NPO法に定められていますが、判断が難しいケースもあります。 不安がある場合には、設立前に専門家へ相談することをおすすめします。
はい、原則として変更があった日から2週間以内に登記が必要です。
期限を過ぎると、過料の対象となることがありますので、 役員変更があった場合には早めの対応が重要です。
理事会や事務局は、法律上の必置機関ではありません。
設立時は必要最低限の機関だけでスタートし、 活動規模や業務量に応じて、後から設置することも可能です。
ただし、将来的に体制変更が見込まれる場合には、 設立時点である程度想定しておくと、後の負担を減らすことができます。
※ 機関や役員体制は、法人の規模や活動内容によって適切な形が異なります。
実際の状況に応じた判断が必要な場合もありますので、詳細は個別にご相談ください。
🔗関連コラム・詳しい解説
📝法人の比較(NPO法人・株式会社・一般社団法人・合同会社)
📝NPO法人の設立要件と設立の流れ
📝NPO法人設立に必要な書類と手続き
