非営利一般社団法人の設立は、
NPO法人と比べて手続きがシンプルで、
比較的短期間で設立できる点が特徴です。

一方で、
設立時の定款設計によって、その後の運営のしやすさが大きく左右されるため、
流れを把握したうえで、最初に決める事項を丁寧に整理することが重要です。

このページでは、
非営利一般社団法人の設立までの基本的な流れと、
設立時に特に注意しておきたいポイントを、実務の視点からご説明します。

設立前に決める主な事項

設立にあたっては、まず次の事項を決める必要があります。
これらは、定款に記載することになる重要な事項です。

  • 法人の名称
  • 主たる事務所の所在地
  • 目的および事業内容
  • 社員(構成員)
  • 機関設計(理事会の有無など)
  • 役員の構成
  • 事業年度
  • 定時社員総会の時期
  • 公告方法

それぞれについて、実務上の注意点を確認しておきましょう。

法人の名称(団体名)

一般社団法人の名称は、比較的自由に決めることができます。

ただし、
活動内容と名称が大きく乖離している場合、
行政・金融機関・助成金申請などの場面で
団体の趣旨が伝わりにくくなることがあります。

将来的な活動内容や対外的な見え方も意識しながら、
非営利性や活動分野が伝わる名称を検討することが大切です。

ルールとしては、次の点に注意が必要です。

・「一般社団法人」は必ず前後どちらかにつける
・登録できる文字
 - 漢字
 - ひらがな
 - カタカナ
 - ローマ字
・登録できる符号
 - 「&」「 ’」「 ,」「 ー」「 .」「 ・」
 ※名称の最初と最後に記号は使用できません

名称は後から変更することも可能ですが、
登記手続や各種届出が必要になるため、設立時に慎重に検討しましょう。

事業年度と定時社員総会の時期

事業年度は、原則として自由に設定することができます。

よくある例としては、
・4月1日から翌年3月31日
・1月1日から12月31日

事業年度は、
決算・定時社員総会・役員改選の時期と密接に関係するため、
団体の活動スケジュールや税理士と相談したうえで決めることが重要です。

定時社員総会は1年に1回は必ず開催する必要があります。
定時社員総会の時期は、定款で「事業年度終了後〇か月以内に定時社員総会を開催する」
といった形で定めるのが一般的です。

よくある例としては、
「毎事業年度終了後3か月以内に定時社員総会を開催する」
です。

定時社員総会では、
・決算の承認
・役員の選任、改選
など、重要な事項を決議します。

なお、定時社員総会では役員の選任・改選が行われることが多く、
役員の任期満了に伴い、定期的に登記手続きが必要になる点にも注意が必要です。

公告方法

公告方法は、設立後に変更することも可能ですが、
変更には定款変更や登記が必要となるため、
設立時に手間や費用を踏まえて慎重に検討することが重要です。

一般社団法人では、決算報告が必須です。
そのため、公告方法は、定款で必ず定めなければならない事項です。

主な公告方法としては
・官報
・電子公告(ホームページ等)
・日刊新聞紙
・主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法
があります。

合わせ技もできます。
例:決定公告は、官報
  決算公告は、電子公告

それぞれの特徴を説明します。
・官報
 官報公告の掲載料金は、内容や文字数によって異なりますが、
 おおよそ8万円からとなっています。

 正確な料金や申込手続きについては、
 官報公告取扱業者の公式サイト等で最新情報を確認することが必要です。
 参考として、官報公告取扱業者である株式会社 横浜日経社の公式サイト
  官報公告掲載料金
  申込日程の目安
 では、
 官報公告掲載料金や申込日程の目安が案内されていますので、
 詳細についてはそちらもご参照ください。

・日刊新聞紙
 一番高価です。

・電子公告
 自社のホームページに掲載するため、柔軟性が高く、費用がかからないように思われますが、
 下記ルールがあります。
  5年間掲載義務
  全文掲載
  決定公告は調査機関による調査が必要(数万円~数十万円)
  ただし、決算公告は調査機関による調査は不要
  URLは登記事項

・主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法
 誰でも容易に閲覧できる状態にしておく必要があります。

一般社団法人では、決算報告が必須なため、手間と費用なども踏まえて検討しましょう。

基金

基金とは、
非営利一般社団法人が活動の原資として受け入れる資金拠出の仕組みです。

基金を採用するかどうかは任意であり、
定款に基金制度を設ける旨を記載することで利用できます。

基金の拠出者は限定されておらず、
・社員
・第三者
のいずれから拠出を受けることも可能です。

基金は法人の運営資金として使用することができますが、
将来、返還することを前提とした資金である点が特徴です。
そのため、寄附金とは異なり、原則として返還義務があります。

※基金は返還義務があるため、
非営利一般社団法人の設立時には、
実務上、基金を設けずにスタートするケースも少なくありません。

設立の基本的な流れ

非営利一般社団法人の設立は、概ね次の流れで進みます。

※期間・費用はあくまで目安です。
実際の所要日数や費用は、ご依頼の時期(繁忙期・年末年始など)や
内容によって前後する場合があります。

NPO法人と異なり、
行政庁の認証手続は不要です。

定款の作成・認証

原始定款と呼ばれる設立に際して最初に作成される定款には、下記の項目が必須となります。
・名称
・目的
・主たる事務所の所在地
・設立時社員の氏名及び住所
・社員の得喪に関する規定
・公告方法
・事業年度

非営利型の場合はさらに
・剰余金分配禁止の明記
・残余財産の帰属先
を定款に記載する必要があります。

のちに定款を変更する場合は、
一般的には、次の要件を満たす必要があります。
・定足数:総社員の過半数以上の出席
・決議要件:出席社員の3分の2以上の賛成

原始定款は、公証人による認証が必須になります。
設立しようとする主たる事務所所在地を管轄する法務局内の公証役場の公証人による認証が必要です。

下記はオンライン申請による定款認証の流れです。

よくあるご質問

Q. 非営利一般社団法人の設立には、行政の認可や認証は必要ですか?

いいえ、行政の認可や認証は必要ありません。

非営利一般社団法人は、所轄庁の認証を受ける必要はなく、 定款の作成・公証役場での定款認証・法務局への設立登記によって設立することができます。

Q. 設立時に必要な人数(社員・役員)は何人ですか?

非営利一般社団法人の設立には、社員が2名以上必要です。

役員については、理事3名以上が必要となります。

社員と理事は兼任できます。

        

ただし、3親等以内の親族の人数制限等があるので注意が必要です。

監事は必須ではありませんが、法人の運営内容によっては 設置した方が望ましいケースもあります。

Q. 非営利型一般社団法人にするためには、設立時に何か注意点はありますか?

はい、定款の内容が非常に重要です。

非営利型要件を満たすためには、 剰余金の分配を行わないことや、 解散時の残余財産の帰属先などについて、 定款に適切な定めを置く必要があります。

Q. 設立後すぐに行うべき手続きはありますか?

設立登記後は、税務署や都道府県・市区町村への届出が必要になります。

また、銀行口座の開設や会計管理の準備など、 早めに整えておくことで、設立後の運営がスムーズになります。

Q. 設立手続きは、自分たちだけで行うこともできますか?

ご自身で設立手続きを行うことも可能です。

ただし、定款内容の不備や、非営利型要件を満たしていないことに 設立後に気づくケースも少なくありません。

将来の運営を見据えた法人設計のためには、 設立前に専門家へ相談することをおすすめします。

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